Yamakagashi Coloration Project
ヤマカガシ
体色プロジェクト
Yamakagashi Coloration Project since 2018
Q. なぜヤマカガシの写真を集めているの?
A. ヤマカガシの多様な体色を記載することは、
いろいろなメリットがあると考えているからです。
ヤマカガシは様々な体色を持つことが
知られています。
ヤマカガシ Rhabdophis tigrinus は本州~九州、四国、屋久島、種子島などに生息しており、水田の近くなどで普遍的にみられるヘビです。このヘビの大きな特徴として、体色が多様であることが知られています。例としてギャラリーにいくつかの地域で見られるヤマカガシの写真を挙げています。
しかしながら、ヤマカガシの体色を記載した研究はほとんどありません。
これまでにヤマカガシの体色について記載してある論文は Goris (1971), Toriba (1992), 鳥羽 (2001)、さらにTakeuchi (2012) に限られており、都道府県レベルで体色の多様性を記載した論文はありません。
ヤマカガシの体色の多様性を記載することは、以下の3つの観点から重要であると私たちは考えています。
”市民への注意喚起”という観点から
ヤマカガシは毒ヘビです。
2017年に兵庫県伊丹市の小学生がヤマカガシに噛まれて意識不明の重体になった事故(リンク:日テレNEWS24; 2017年) を覚えている方も多いのではないでしょうか。
ヤマカガシは奥歯のあたりに後牙(こうが)という毒牙を持っており、咬まれた際に毒が注入されると中毒症状が現れます。人の咬傷例としては、現在までに50件以上の重症例と4件の死亡例が報告されています (堺ら.2002; Hifumi et al. 2013など)。
適切に対処すれば決して危険なヘビではありませんが、噛まれると危険なヘビであることには変わりありません。
各地域でどのような体色のヤマカガシが見られるかという記載は、咬傷事故を防ぐために重要なことであると考えています。
”表現型の多型”という観点から
進化史の理解につながります。
我々の社会は、生物多様性の恩恵を利用することで成り立っています。社会を維持し、より良くする為には、生物の形態や生活史等の表現型にみられる多様性が如何に生じ、維持され、時に消失されるのかを理解する必要があります。
多様性を理解するための第一ステップは、表現型を記載することです。容易に採捕できる生物種は大変稀で、大抵の場合は苦労して生物を採取し、記載していくことになります。一方で、SNSを通して市民の方々と協力し合ったり、各地の生物の画像をダウンロード可能となった現在、インターネットも多型記載への強力なツールとなりえます。こうした地道な記載を積み重ねることで、生物の進化史を解き明かし、生物多様性を理解する上での基礎となると信じています。”行動学”という観点から
ヘビ類の体色の適応的意義に迫ることができます。
ヤマカガシはなぜこのような目立つ体色をしているのでしょうか。九州にいる個体は黒い斑紋が大きいのに対し、東北にいる個体は黒い斑紋が小さいのはなぜでしょうか。ヘビ類において、背景と似た体色を持った種は捕食者に見つかりにくくなる、明るい色を持った種は捕食者から狙われにくくなる、などと様々な適応的意義を持つことが知られています(Pough F.H., 1976; Allen et al., 2013など)。本研究によるヘビ類の体色の記載は、どのような環境の地域にどのような体色のヘビが多いかを知る機会となり、捕食ー被食関係をはじめとした様々な行動学的研究の基盤となることが期待されます。
これらの理由から、私たちは
Web画像検索およびSNSを活用した
市民参加型プロジェクトの一環として、
ヤマカガシの体色の記載を試みています。
しかしながら、私たちだけで全国津々浦々に赴き、
ヤマカガシの体色の記載を行うことは非常に困難です。
そこで‥全国各地からのヤマカガシの写真提供をお願いしています!
Q. どんな情報が必要なの?
以下の情報の添付をお願いします。2~4については任意ですが、1については必須です。
1.撮影場所【必須】
2.撮影年月日
3.体長などの備考
4.撮影者名(差支えなければ)
Q. ヤマカガシのどんな写真を募集しているの?
以下のような写真が理想です。
1.成体(幼体については募集対象外です)
2.全身が写っているもの
3.画像が鮮明であるもの(鱗が判別できる程度)
斑紋の大きさ、頸部の色彩など、様々な情報をもとにクラスタリングをしていくため、大きめのサイズが理想です。
Q. 写真を提供するメリットはあるの?
異なる地点で複数枚(5枚以上)送って頂いた方、また情報が不足している地方の写真を提供してくださった方には、オリジナルヤマカガシグッズのプレゼントを予定しています。詳しくは本プロジェクトのTwitterをご参照ください。
●写真撮影に関連する注意事項
ヤマカガシは毒蛇です。大人しいものの危険な毒を持っています。
なお、このアカウントはこれまでに撮影されたヤマカガシの写真提供をお願いする目的で作られたものであり、新たに写真撮影を推奨するものではありません。
今後撮影される方は、
・1m以上離れた場所からの撮影
・直接触れるなど、ヤマカガシに危害を与える行為をしない
といった点に留意していただくようお願いします。
●その他の注意事項
写真送付の際には、住所・パスワードなど個人が特定できる情報は入れないでください。
大変申し訳ありませんが、本プロジェクトおよび管理者は上記をはじめとした撮影環境、データ送付において生じたいかなる損害に関しても責任を負いかねます。あらかじめご了承ください。
本プロジェクトのプライバシーポリシーはこちらをご参照ください。
活動報告【2024/10/31更新】
2018年4月からの募集の呼びかけにより、953枚の写真を収集し、そのうち522枚を解析に用いることができました。
たくさんの方にご協力していただき、感謝申し上げます。
以下に得られたデータ状況(図1)、体色型に関する先行研究のまとめ(表1)を載せています。
図1.データ状況(2024/10/31更新)
表1.先行研究をもとにしたヤマカガシの各体色型およびその特徴(20201031ver.)
許可のない転載、本画面の複製等を含むデータの移植・使用は固く禁じます。
※いきもにあ期間中に公開していた体色分布の図ですが、論文投稿に伴い公開を中止しています。
(24/11/07更新)
ヤマカガシオリジナルグッズの販売
STORESにて販売しています。詳しくは、各商品のリンクをクリックしてください。
お知らせ
2024年10月28日
いきもにあ2024に参加いたしました。(ブース番号:G-136)
期間中はたくさんの方にお越しいただき、またオリジナルグッズをご購入頂きました。
また今回のいきもにあでは、のべ108人の方にご協力いただき、体色マッピングを行いました。詳しくはこちら(X/Twitter)
さまざまな方とお話しできて非常に楽しい時間を過ごすことができました。ご協力、ありがとうございました!
2022年10月30日
いきもにあ2022 に参加いたしました。(ブース番号:A-19)
期間中はたくさんの方にお越しいただき、オリジナルグッズをご購入頂きました。
また今回のいきもにあでは、のべ132人の方にご協力いただき、体色マッピングを行いました。詳しくはこちら(Twitter)
さまざまな方とお話しできて非常に楽しい時間を過ごすことができました。ご協力、ありがとうございました!
2022年9月7日
学術論文を投稿いたしました。
皆様から頂いた写真をもとに、ヤマカガシ体色の地理的分布に関する英語論文を執筆し、国際ジャーナルに投稿いたしました。
雑誌に採録決定後、論文および写真提供者に対する謝辞(希望者)に関しましては、本HP上での公開を考えています。
詳しい内容につきましては、採録決定後にお知らせいたします。
→rejectされました。内容を精査し、再度取り組みたいと思います。
2022年5月31日
日本爬虫両棲類学会の和文誌(爬虫両棲類学会報)にて報文を出版いたしました。
題目:
福田将矢 (2022)「ヤマカガシ孵化幼体の体色多型について」爬虫両棲類学会報 2022(1): 73-78
日本国内7地点より収集したヤマカガシ妊娠メスから生まれた孵化幼体の体色多型に関する報文です。
pdfの別刷りを配布しています。(個人使用の範疇を超えないようにお願いいたします)
必要な方はメールアドレスを添えて、TwitterのDM(こちら)までご連絡ください。
2022年5月28日
いきもにあ2022 に「ヤマカガシ体色プロジェクト」として参加いたします。
京都・みやこめっせにて 2022/10/29-30 に開催される「いきもにあ2022」にブース参加いたします。
活動報告としてこれまでの研究結果の発表、発行した報文等の配布、またヤマカガシオリジナルグッズなどの販売を行います。
いきもにあ2022について、詳しくはこちら(HP)
2022年4月25日
学術論文の執筆について
現在、皆様から頂いた写真をもとに、ヤマカガシ体色の地理的分布に関する英語論文を執筆しており、現在雑誌投稿前の最終校閲中です。
雑誌に採録決定後、論文および写真提供者に対する謝辞(希望者)に関しましては、本HP上での公開を考えています。
詳しい内容につきましては、論文投稿後にお知らせいたします。
2020年11月24日
いきもにあ2020“いえもにあ” に参加いたしました。
期間中はたくさんの方にお越しいただき、またオリジナルグッズをご購入頂きました。ありがとうございました。
今年度中の論文投稿、データ公開を目標に引き続き頑張って参ります。
2019年12月15日
ヤマカガシオリジナルグッズの発送を行いました。
これまでに写真を送って頂いた方のうち条件に合致した方7名に、ヤマカガシオリジナルグッズを発送いたしました。
ヤマカガシオリジナルグッズに関してはこちら(Twitter)
2019年11月23日
京都爬虫両生類の会の会誌「けこけこ」第3号にて、『ヤマカガシの体色と模様の多様性』という題で寄稿させて頂きました。
題目:
福田将矢「ヤマカガシの体色と模様の多様性」pp.38~41
「けこけこ」第3号および京都爬虫両生類の会について、詳しくはこちら(Twitter)
第61回京都大学11月祭(NF)、いきもにあ2019、コミックマーケットC97にて頒布予定とのことです。
Member (Abc order)
(Kyoto Univ.)
(National Institute of Genetics)
Kouta KUBO
(Hokkaido Univ.)
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fukuda.masaya.42w(a)kyoto-u.jp (福田)
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